コラム

「外国人技能実習制度」と「特定技能制度」の違いとは?

技能実習2026.01.07

外国人材を受け入れる制度には、長年にわたり活用されてきた「外国人技能実習制度」と、2019年に新たにスタートした「特定技能制度」があります。
名称は似ていますが、それぞれ制度の趣旨や仕組みは大きく異なります。そのため、違いを正しく把握しておくことは、外国人材の採用や受け入れ後の対応を適切に進めるうえで重要です。

本記事では、制度の目的や在留可能期間、対象となる業種、転職の可否といったポイントを中心に、「技能実習」と「特定技能」の違いを整理し、分かりやすくご紹介します。

●技能実習制度と特定技能制度の目的の違い

外国人技能実習制度特定技能制度は、どちらも外国人材を受け入れる制度ですが、制度が創設された背景や役割が異なります。

外国人技能実習制度は、日本で培われた技能や技術、知識を修得してもらい、それを母国の発展に役立ててもらうことを目的とした制度です。
そのため、就労を通じて技能を身につける「人材育成」の側面が重視されています。

一方、特定技能制度は、国内人材の確保が困難な産業分野において、一定の専門性や技能を有する外国人材を受け入れることを目的とした制度です。
現場での活躍を前提とした、「即戦力の確保」を目的としています。

このように、同じ外国人材の受け入れ制度であっても、制度の目的には明確な違いがあります。

●技能実習と特定技能の主な違いを比較

技能実習制度と特定技能制度は、在留資格や在留期間、受入れ体制、転職の可否などにおいて大きな違いがあります。
以下では、企業の皆さまが特に確認しておきたい項目を中心に比較します。

  技能実習(団体監理型) 特定技能(1号)
在留資格 在留資格「技能実習」 在留資格「特定技能」
在留期間

最長5年
(1号:1年、2号:2年、3号:2年 以内)

通算5年
外国人の技能要件 なし 相当程度の知識又は経験が必要
入国時の試験

なし
(介護職種のみ日本語要件あり)

技能水準・日本語能力水準を試験等で確認
(技能実習2号の良好修了者は試験免除あり)

監理する団体 あり
(事業協同組合など)
なし
外国人の支援機関 なし

あり
(登録支援機関が受入れ機関からの委託を受けて外国人を支援)

送出機関 外国政府の推薦又は認定を受けた機関 規定なし
マッチング・採用 通常監理団体と送出機関を通して実施 受入れ機関が直接海外で採用・国内外のあっせん機関等を通じて採用等が可能
受入れ人数枠

常勤職員の総数に応じた人数枠あり

人数枠なし
(介護、建設分野を除く)
活動内容 認定を受けた技能実習計画に基づく活動
非専門的・技術的分野
相当程度の知識又は経験を必要とする技能を要する業務に従事する活動
専門的・技術的分野
転籍・転職 原則不可 一定の業務区分間において転職

●技能実習から特定技能への移行について

外国人技能実習制度は、開発途上国等への技能移転を目的とした制度であり、人材確保を目的とした就労制度ではない一方で、
技能実習を通じて一定の技能水準に達した場合には、修了段階(2号・3号)に応じて、特定技能1号へ移行することが可能となっています。

技能実習2号を良好に修了した場合には、分野によっては技能試験が免除されるなど、
技能実習期間中に培った経験や技能が、特定技能への移行時に評価される仕組みも設けられています。

そのため現在の制度運用上は、
技能実習を「技能を身につける期間」、特定技能を「習得した技能を活かして就労する段階」として、
結果的に連続したキャリアの流れとして選択されるケースが多くなっているのが実情です。

以下の図は、外国人技能実習制度から特定技能制度へ移行する場合の、在留期間や試験要件の考え方を整理したものです。

技能実習からの特定技能への移行フロー

● 今後の制度改正(育成就労制度)と特定技能への移行

外国人技能実習制度は今後、「育成就労制度」へと見直される予定となっており、
人材育成から就労までの位置づけをより明確にする制度設計が進められています。

育成就労制度では、特定技能制度への円滑な移行を見据えた育成を制度上想定しており、
原則3年間で一定の技能水準まで育成したうえで、特定技能1号へ移行する流れが基本とされています。

これにより、これまで制度趣旨と実態にズレがあった部分が整理され、
育成から就労への流れがより分かりやすくなるとともに、企業にとっても中長期的な人材確保を計画しやすくなることが期待されています。

以下の図は、育成就労制度を経て特定技能へ移行する場合の、基本的な流れや考え方を示したものです。

育成就労からの特定技能への移行フロー

●まとめ

外国人技能実習制度と特定技能制度は、同じ外国人材の受け入れ制度でありながら、その目的や役割は大きく異なります。

外国人技能実習制度は、技能や知識の習得・育成を通じた人づくりを目的とした制度であり、特定技能制度は、一定の技能水準を有する外国人材を即戦力として受け入れるための制度です。
外国人技能実習制度は、あくまで技能移転を目的とした制度であり、特定技能制度への移行を前提とした仕組みではありません。

一方で、制度運用の中において、技能実習修了後の進路として特定技能を選択するケースが増えてきたことから、現在では両制度が実務上つながりを持ちながら活用されている状況にあります。
今後創設予定の育成就労制度では、こうした実態を踏まえ、育成から就労への流れを制度として整理し、特定技能への移行を見据えた人材育成が行われる見込みです。

制度の目的や位置づけを正しく理解したうえで、自社の人材確保や育成方針に合った制度を選択することが重要となります。
外国人材の受入れについてご質問がございましたら、三愛友好交流協同組合までお気軽にお問い合わせください。