育成就労制度・特定技能制度で求められる日本語能力とは|CEFR・試験要件をわかりやすく解説
外国人材の受入れにあたり、企業様から多く寄せられるご質問の一つが、「日本語能力について、制度上の要件はあるのか」という点です。
今後運用が始まる育成就労制度と、すでに運用されている特定技能制度では、日本語能力について明確な要件が定められており、
いずれも CEFR(ヨーロッパ言語共通参照枠)を基準に整理されています。
本コラムでは、
・育成就労制度・特定技能制度で求められる日本語能力要件
・CEFR(A1・A2・B1)の具体的なレベル感
・外国人技能実習制度と育成就労制度の違い
について分かりやすく解説します。
目次
- 1 CEFR(セファール)とは?
- 1-1 CEFR A1レベルとは?
- 1-2 CEFR A2レベルとは?
- 1-3 CEFR B1レベルとは?
- 2 制度別|求められる日本語能力要件
- 3 日本語能力における「外国人技能実習制度」と「育成就労制度」の違い
- 4 三愛友好交流協同組合の日本語サポート体制
- 5 まとめ
●CEFR(セファール)とは?
CEFR(Common European Framework of Reference for Languages:ヨーロッパ言語共通参照枠)は、
「その言語で何ができるか」という観点から言語能力を整理した国際的な指標です。
単に語彙数や文法知識の量で評価するのではなく、
実際のコミュニケーション場面で、理解し・伝え・やり取りできるかという実用性を重視している点が特徴です。
CEFRでは、言語能力を以下の6段階に分けて整理しています。
- A1・A2:基礎段階の言語使用者
- B1・B2:自立した言語使用者
- C1・C2:熟練した言語使用者
外国人材受入れ制度では、このうち主に A1〜B1 が要件として用いられています。
CEFR各レベルの位置づけ
| レベル | 学習者のイメージ | 特徴 |
|---|---|---|
| A1 | 基礎段階の言語使用者 | 具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しは理解し、用いることもできる。 もし相手がゆっくり、はっきりと話して助けてくれるなら、簡単なやり取りができる。 |
| A2 | 基礎段階の言語使用者 | ごく基本的な個人情報や家族情報、買い物、近所、仕事など、身近な領域に関する表現が理解できる。 日常的な範囲であれば、情報交換に応じることができる。 |
| B1 | 自立した言語使用者 | 仕事、学校、娯楽など身近な話題について、主要点を理解できる。 身近な話題であれば、筋の通った文章を作ることができる。 |
| B2 | 自立した言語使用者 | 専門分野の議論を含め、複雑な内容の主要点を理解できる。 日本語母語話者とも自然なやり取りができる。 |
| C1 | 熟練した言語使用者 | 高度で長い文章を理解し、含意も把握できる。 目的に応じた柔軟で効果的な表現ができる。 |
| C2 | 熟練した言語使用者 | 聞いたり読んだりしたほぼすべての内容を容易に理解できる。 非常に複雑な内容でも、正確に表現できる。 |
※文化庁『「日本語教育の参照枠」の概要』参照
このようにCEFRは、「どの程度の言語能力で、どこまで自立してコミュニケーションが取れるか」を段階的に示す枠組みです。
育成就労制度や特定技能制度では、外国人材が日本で生活し、職場で働くうえで現実的に必要となるA1・A2・B1レベルが基準として設定されています。
●CEFR A1レベルとは?
CEFR A1は、「具体的な欲求を満足させるための、よく使われる日常的表現と基本的な言い回しを理解し、用いることができる」と定義されています。
ただし、この定義文だけでは実際のレベル感が分かりにくいため、現場や生活の場面でできることとして整理すると、次のようなイメージになります。
A1レベルでできること
・時間帯に合った基本的な挨拶を交わすことができる。
・自己紹介するとき、自分の家族の人数と構成を、簡単な言葉で言うことができる。
・友人や同僚と、「何が好きですか」「肉が好きです」など、食事の好みを簡単な言葉でたずねたり、答えたりすることができる。
・病院の診察室で触診を受けながら、痛いか痛くないかの質問に答えることができる。
・職場や工場などで作業中に、「ちょっと来てください」「見てください」など、短い簡単な言葉で指示したり、 ゆっくりとはっきりと話されれば、指示されたことに対応したりすることができる。
ゆっくり・はっきり話してもらえれば、短いやり取りが成立するレベルです。
●CEFR A2レベルとは?
A2はA1から一段階進み、日常生活や職場での基本的なやり取りができるレベルです。
A2レベルでできること
・短い簡単な言葉で丁寧なお礼や別れの言葉を言うことができる。
・駅のホームや電車の中などで、発着案内や電車の乗り換えなどの簡単なアナウンスを聞いて、理解することができる。
・職場でのイベントについて、当日の集合場所や時間などの簡単な情報を、同僚に質問したり、質問に答えたりすることができる。
・飲食店などの職場で、客から料理や飲み物などの簡単な注文を受けることができる。
・ごみ収集所の掲示などの短い簡単なテクストを見て、捨てたいごみは何曜日に捨てられるかなど、必要な情報を探し出すことができる。
日常生活だけでなく、現場での基本的な報告・連絡・相談が可能になるレベルです。
●CEFR B1レベルとは?
B1は、ある程度幅広い場面で、自分の考えや状況を説明できるレベルです。
B1レベルでできること
・名刺を交換しながら、名前、所属、業務内容など、仕事上必要な情報などについて、ある程度詳しく自己紹介し合うことができる。
・来客に自分の会社の工場などを案内するとき、機械の機能や生産過程などを、ある程度詳しく紹介することができる。
・飲食店などの職場で、注文の間違いなどの問題が生じたとき、客の苦情を聞いて理解し、謝るなど当座の対処をすることができる。
・行きたい旅行先について、訪れたい場所やそこで何をしたいかなどの希望を、ある程度詳しく友人に話すことができる。
職場での相談・説明・対応を自分から行えるレベルといえます。
※本ページの内容は、JFスタンダード「みんなのCan-do一覧」を参考に作成しています。
●制度別|求められる日本語能力要件
育成就労制度
- 【就労開始までに】CEFR A1相当試験合格 または A1相当講習受講
- 【就労終了までに】CEFR A2相当試験合格 または A2相当講習受講
入国時点では基礎的な日本語力で可としつつ、在留期間中に実務で使える日本語力まで育成する設計です。
特定技能制度
【特定技能1号(申請時)】CEFR A2相当試験合格
【特定技能2号(申請時)】CEFR B1相当試験合格
特定技能は即戦力人材としての位置づけのため、育成就労制度よりも高い日本語能力が求められます。
CEFRレベル別の相当試験について
以下は、CEFRの各レベルに相当する日本語試験を整理した図です。
あわせて、言語レベルの感覚をつかみやすいよう、英検の級をレベル感の目安として併記しています。
| レベル | 日本語能力試験(JLPT) | 国際交流基金日本語基礎テスト(JFT-BASIC) | 〈参考〉英検でのレベル |
|---|---|---|---|
| A1 | N5合格 | 3級 | |
| A2 | N4合格 N3合格(103点以下) |
合格 | 2~準2級 |
| B1 | N3合格(104点以上) N2合格(111点以下) |
準1~2級 | |
| B2 | N2合格(112点以上) N1合格(141点以下) |
1~準1級 | |
| C1 | N1合格(142点以上) | 1級 | |
| C2 |
●日本語能力における「外国人技能実習制度」と「育成就労制度」の違い
これまでの「外国人技能実習制度」と、今後運用が開始される「育成就労制度」では、在留期間の考え方と日本語能力の位置づけが大きく変わります。
外国人技能実習制度
外国人技能実習制度では、技能実習1号・2号・3号という区分があり、技能実習3号まで進めば最長5年間の就労が可能でした。
日本語能力については、入国前講習や在留中の学習は求められていたものの、
特定の日本語レベルへの到達が、制度上の必須条件として定められているわけではありませんでした。(介護職種のみ入国時に日本語要件あり)
また、技能実習から特定技能に移行する場合、
特定技能1号を取得するためには、原則として「分野ごとの技能試験と」「日本語能力試験」の両方に合格する必要があります。
日本語能力については、CEFR A2相当が基準とされています。
ただし、技能実習2号を良好に修了し、かつ特定技能1号で従事しようとする業務が、
技能実習時の職種・作業内容と関連している場合には、技能試験・日本語能力試験のいずれも免除されます。
一方で、技能実習2号を良好に修了していても、従事する業務との関連性が認められない場合には、
日本語試験は免除されるものの、技能試験については受験・合格が必要となります。
育成就労制度
育成就労制度では、在留期間は原則3年間とされ、その後も日本で働き続けるためには特定技能への移行が前提となります。
つまり、特定技能へ移行できなければ、3年以上日本に在留することはできません。
そして、その特定技能への移行要件の一つが、CEFR A2相当以上の日本語能力試験合格です。
育成就労制度では、技能実習制度のような試験免除の仕組みはなく、日本語能力を含め、特定技能への移行要件を満たすことが必須となります。
●三愛友好交流協同組合の日本語サポート体制
三愛友好交流協同組合では、育成就労制度・特定技能制度を見据え、
オンライン形式の日本語教室を開講しています。
対象は、技能実習生および特定技能で就労している外国人材で、
1クラス3~6名の少人数制クラスにより、一人ひとりの理解度に応じた指導を行っています。
授業は、日本語能力試験(JLPT)N4〜N3相当の日本語力の定着・向上を目標とし、
文法・語彙・文字といった基礎力に加え、日常生活や職場で実際に使う日本語表現を中心に学習を進め、
これまでにN4・N3合格者を多数輩出しております。
初回のレベルチェック結果をもとにクラス分けを行うため、現在の日本語力に応じた無理のないステップアップが可能です。
現在は、月曜日から金曜日に全10クラスを開講しており、20:00開始など仕事終わりの時間帯を中心に運営しています。
(※開講クラス数や時間帯については、参加人数等により今後変更となる場合があります。)
入国後も継続的に日本語を学べる環境を整えることで、制度要件の達成だけでなく、職場での円滑なコミュニケーションや定着支援につなげています。
●まとめ
・育成就労制度では、就労前までにA1、終了までにA2が要件
・特定技能制度では、1号はA2、2号はB1が要件
・日本語能力が、在留継続や制度移行に直結する設計となっています。
今後は、試験名や級だけでなく、どのCEFRレベルへの到達が、どの進路に必要なのかを正しく理解し、
試験合格を見据えた日本語学習を計画的に進めることが重要になります。
三愛友好交流協同組合では、制度理解から日本語教育、入国後フォローまで一貫してサポートしています。
制度選択や日本語能力要件への対応に不安がある場合は、ぜひお気軽にご相談ください。



