【技能実習】宿泊施設の基本要件
技能実習生を受け入れるにあたり、宿泊施設の確保は、事前に確認しておきたい重要なポイントの一つです。
「どの程度の広さが必要なのか」「どのような設備を備えておくべきか」「費用の扱いはどうなるのか」など、特に初めて技能実習生を受け入れる企業にとっては、判断に迷う場面も少なくありません。
本コラムでは、これから新たに技能実習生を受け入れる企業が、事前に把握しておくべき宿泊施設の要件について、確認すべきポイントを分かりやすく整理します。
目次
●宿泊施設の基本要件について
①建築物としての適合性
建築基準法上の基準を満たした建築物であること
②立地に関する要件
次のような場所の付近を避ける措置が講じられていること
・爆発物、可燃性ガス等を取り扱い・貯蔵する場所の付近
・高熱、ガス、蒸気、粉じん等が発散する衛生上有害な作業場の付近
・騒音・振動の著しい場所
・雪崩、土砂崩壊のおそれがある場所
・湿潤な場所、出水時に浸水のおそれがある場所
・伝染病患者収容施設や、病原体による著しい汚染のおそれがある物を取り扱う場所の付近
③避難階段等の設置
・通常時15人未満の者が2階以上の寝室に居住する建物→ 1か所以上の避難階段を設けていること
・通常時15人以上の者が2階以上の寝室に居住する建物→ 2か所以上の避難階段を設けていること
※「避難階段」については、滑り台、避難はしご、避難用タラップ等の避難器具に代えることが可能です。ただし、通常時15人以上の者が2階以上の寝室に居住する建物の場合には、少なくとも1か所は避難階段を設ける必要があります。
④消火設備の設置
消火器、火災報知器等の適当かつ十分な消火設備が、火災発生時に機能する位置に設置されていること
⑤寝室の広さ・環境基準
・技能実習生1人当たり3畳以上(約4.5㎡以上)を確保していること(収納内部や実際に使用できない部分は面積に含まない)
・寝室には、室面積の7分の1以上の有効採光面積を有する窓が設けられていること
・社会通念上、生活に必要な採暖・冷房設備等が設けられていること
・就眠時間が異なる2人以上の技能実習生がいる場合は、寝室を分ける措置を講じていること
⑥私有物の保管設備
金庫・施錠可能な個人ロッカー等、技能実習生が個人単位で私有物を管理できる設備が設けられていること
※身の回りの品を収納できる一定の容量があり、施錠可能で、容易に持ち出せない構造であることが求められるます。(個人別に施錠可能な部屋がある場合を除く)
⑦食堂または炊事場を設ける場合
・照明・換気を十分に行うこと
・食器・炊事用器具を清潔に保管すること
・ハエや害虫、ネズミ等の侵入を防ぐための措置を講じていること
⑧他に利用できるトイレ・洗面所・洗濯場・浴場(脱衣室を含む)がない場合
・これらの施設を設け、常に清潔に保つ措置を講じていること
・各施設は一般的な機能を有する設備であること
・浴場については、保温性を維持し、必要に応じてプライバシーに十分配慮されていること
⑨宿泊施設が労働基準法第10章に規定する「事業の附属寄宿舎」に該当する場合
寄宿舎規則の届出等を行っている、または速やかに行うこととしていること
⑩宿泊施設の共用部分
衛生管理を行い、感染症の発生およびまん延防止のための措置を講じていること
●宿泊施設の準備・費用負担について
宿泊施設の準備
技能実習制度においては、技能実習生のための適切な宿泊施設を確保することが、実習実施者または監理団体に求められています。
実務上は次のような形で宿泊施設が確保されるケースが一般的です。
・受入企業(実習実施者)が社宅・寮を用意する
・受入企業(実習実施者)が賃貸住宅を借り上げる
・監理団体が物件選定等に関与する
いずれの形態であっても、受入企業としては、施設の内容や条件が技能実習制度の基準に沿っているかを把握し、適切に運用・管理していく必要があります。
居住費(食費・居住費・水道光熱費等)の取扱い
・食費、居住費、水道・光熱費など、技能実習生が定期的に負担する費用については、事前に技能実習生との合意が必要です。
・金額およびその内訳については、事前に書面で明示し、十分に説明されていることが必要です。
・徴収する居住費が高額な場合、生活に支障をきたすおそれがあるため、技能実習の適正な実施および技能実習生保護の観点から、実費相当等の適正な額でなければなりません。
・修繕費を実習生に負担させることは原則として認められていません。
●まとめ
技能実習生の宿泊施設については、単に住まいを用意すれば足りるものではなく、建築基準法への適合を前提として、立地・構造・居住環境・費用負担まで含めた総合的な確認が求められます。
特に新規受入企業においては、事前にこれらの要件を把握し、監理団体と連携しながら適切な宿泊施設の確保・管理を行うことが重要です。
宿泊施設の基準や運用について不明な点がある場合は、三愛友好交流協同組合までお気軽にお問い合わせください。



